「RECESS(腰かけてごらん)」[日本語版]

初演・初出:
初演[日本語版]: 2021年7月18日、立教大学
初演[英語版] : 2022年7月18日、The Hymn Society US/CANADA Annual Meetings 2022



 コロナ禍を覚えて

 詩人・青石 仁(兄・宮ア光司祭の作詩者ペンネーム)から歌詞がメールされてきたのは2020年12月10日だったようです。実は私、そのメールを見落としていて、再び詩人より連絡があったのは約1年後、2021年11月23日でした。「2022年のUS/Canada賛美歌学会に5年ぶりに宮崎ブラザースの新曲を携えて乗り込みたい」と記されており、2017年の「サクラサク(Sakura Saku - Jesus Makes No Answer)」と同様に、日本聖公会の聖歌創作への弛まぬ取り組みを報告すると同時に、全世界の人々が共に困難な想いをしたコロナ禍を覚えて1曲残しておこうと考えたようでした。

 

 ですが私は2021年の年明け早々に希少なガンにかかっていることが判り、半年間の入院手術+治療を経て仕事(現場?!)復帰をした矢先でした。著しい体力低下で集中力が続かず、治療前の自分との落差に愕然としている最中、届いた詩人のメールに添付されていた詞(当時の題名は「この頃中に」)を初めて見て、瞬時に閃くものがあったので短時間で曲を付けました。2021年11月29日のことです。アドベントに入るか入らないかの時期で、その翌日には詩人からOKをもらい、完成しました。

 

 当時、詩人に宛てた私の送信メールの最後には、こんな一文があります。「外出するだけで風邪をひくので(しかも治りが遅い)、うっかり外にも出られません。」と、その時の我が身の状態を記しています。



 長い間キャンパスで学べなかった学生たちを覚えて

 当時、詩人・青石 仁ことパウロ宮ア 光司祭は、立教大学のチャプレンで、この歌詞には入試をガンバって合格して立教大学に入学したのにキャンパスに来られず、新しい学友と直接触れ合うことも許されず、心の中では膝を抱えて気落ちしている学生たちへの眼差しが感じられます。その目線の低さに合わせ、私はメロディーに「寒い冬に暖炉の火の暖かさ」を感じるものを選びました。「よくガンバっているね、君は素晴らしいよ」…って感じのメッセージです。

 

 2017年の「サクラサク」との根本的な違いは、“日本のメロディーの探求”を完全にスルーして作ったという点です。世界が混乱しているような“有事”の際には、アイデンティティーよりも大切にすべきものが山ほどある事に気づきました。

「RECESS (Sit Yourself Down, Be at Rest)」[英語版]



 共に耐え忍んだ英語圏の人々を覚えて

 US/Canada賛美歌学会に持ち込むため、英訳詞を書いたのは立教大学チャプレン、トーマス・プラント司祭です。きっと世界の皆も同じ思いをしてきたに違いない、このメッセージは世界共通だとの想いで丁寧に英語訳詞を書いたのでしょう。

 

 とはいえ、この歌はコロナ禍だけでなく、いつの時でも長く苦しい状況の中で出口を求めてガンバっている人々へのエールであれば良いなと思います。



ページの先頭へ(Top)