作曲にあたって

 これは「主の祈り」、「聖なるかな」、「感謝聖別・叙唱」、「記念唱」に次いで書いたものです。


 昔から疑問に思っていたことがありました。「大栄光」と名の付いた“グロリア”は、ミサの中では最も華々しいイメージがあって良いと思いますが、困ったことに歌詞が少々長い。文章的になかなか煮えてこない感じで、最後の盛り上がりまでが長い。最初っから盛り上がりっぱなしでもいいじゃねーか、“大栄光”なんだろうに?しかしもっと簡潔に言い表せなかったものかね?“グローリア・イン・エクセルシス・デオ”だけじゃダメなのかね?


 そんなこんなで、敢えて挑戦するのには恰好の素材であると思いました。ミサ中で最も“賛美”であるパートですもの。改訂委員ともよくよく相談して、ここは唱えるんじゃなくて、積極的に歌っていこう!と相成りました。


 作曲に取りかかる前、もう一度、祈祷書の「大栄光の歌」を読み直し、暗記して、煙草なぞ吹かしておりました(別に煙草じゃなくても良かったんですがね、お酒でもコカコーラでも飲んでいるのでも)。その間、気に入った旋律が見つかるまで、頭の中に鳴り始めるものを聞き続けます。こういったリラックスしている時は、“チャネリング”が容易になります。そんな中から、あっ、これはイケるかも・・・というものが見つかったら、実際にピアノ等で音にしてみるのです。


 ですがこの曲では、その行程を何度も繰り返すことになりました。気に入った旋律(それは大方、テキストの最後までキチンと繋がった1曲になっている)の音域がムチャクチャ幅広かったり、妙に小難しかったり、大戦車軍団風の行進曲だったり、はてまた実際に演奏してみると凄く笑えるヘンな歌だったり。勿論、それらは全てボツです、ゴミ箱行きです。ちなみに私はそれらを、後に何かに転用可能なようにストックする(書き留めて保存する)ことは致しません。


 そして決定した旋律が、現行のモノです。結果としては、私のミサ曲の中で最もポップなものになったと思います。何故この旋律を選んだのかといえば、特定の聖堂をイメージしたためです。私の立教チャペル(立教学院諸聖徒礼拝堂)のような大きめのパイプオルガンが唸りを上げるような聖堂ではなく、お隣の「池袋聖公会」、又は府中市の「府中・聖マルコ教会」です。つまり、アットホームな雰囲気を持つ小さな町教会でその音が鳴ることを想定して選び出しました。ミサの中で一番華やいでいると考えるパートが、足鍵盤のあるデカいオルガンでないとショボくなっちまう・・・ってのも、なんとなくイヤだったからです。


 しかし音域の問題で、調性がC-dur (C Major) と若干低くなってしまった上、リードオルガンで弾けること(ペダル不使用)を考慮に入れてハーモナイズしたものだから、和声が密集しがちになって、厚ぼったくなってしまいました。最初にイメージした華やいだ雰囲気は、過度に盛り上げを要求することのない、落ち着いたものになりました。・・・やっべぇ〜なぁ・・・とか言ってる場合ではありません。なんなら和声を見直してチョイチョイと書き直せばいいじゃないか・・・とも思いましたが、ハーモニーのカデンツは気に入っていたので変えたくなかったし、オープン・ハーモニーを多用すると完全にペダル付きオルガン仕様の譜面にしてしまうのはできるだけ避けたかった。でも、実際に弾いてみたら結構優しかったので、熟考の末、そのままにしました。

 

 演奏のために

 私が書いたオリジナルは混声合唱+オルガン奏楽の4段譜で、両者は大部分が同じだということで、聖歌集に掲載された譜面はオルガン・パートが省かれています。「わたしたちの祈りを受け入れて下さい〜」あたりの先導役は奏楽が担っているだけに、奏楽者が聖歌集の譜面をそのまま弾くと、却って礼拝での使い勝手が難しくなるかもしれません。オルガン譜を下に掲載しておきますので、上手に利用して下さい。

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オルガン奏楽譜


 先述した通り、リードオルガン用に譜面を書いているワケですが、大きなパイプオルガンや、ペダル付きオルガンがある教会で用いる場合、きっとバス・パートをペダルで演奏するでしょう。その際、全体的にストップは倍音を多く含んだもの、若しくはカプラーで1オクターヴ上の音をプラスすると、曲の持つ華やかさが倍増すると思います。特に最後の「イエス・キリストよ、主のみ聖、主のみ王〜」からね!

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