『MONOLOGUES 〜 Music for The Play』- Liner Notes

MONOLOGUES - Cover Art Designed by Peter Michi Miyazaki and PANKUZU Kyoji Kita MONOLOGUES - Back Cover Art Designed by PANKUZU Kyoji Kita
作曲、編曲、演奏、録音、プロデュース: 宮崎 道
カヴァーデザイン: 宮崎 道、"PANKUZU"喜多京司(なのはな工房)


「2つの音の旅路の物語」     宮崎 道

 本作は演劇ユニット“初級教室”の『モノ・プロセス』(2012)及び、その改訂版の『ソリテュード・ボーイ・イノセンス』(2015)という2つの舞台作のための音楽を改訂、再構成して1つの作品にまとめたものです。

 本来、舞台や映画の…即ち「付随音楽」は、付随するものと一体になるように作られ、結果として堅く結ばれた両者であれば容易には離れがたいもの。舞台用のオリジナルは、ほぼ全曲がピアノ・ソロに近いものでした。それを敢えて引き離して音楽作品とするには「化粧直し」が必要になります。本作では全曲を見直した上、アレンジを加えて再録音し、構成上不足していると感じた部分は新曲を足し、そうして新たな衣装をまとって音楽は独立した作品として、改めて出発する用意が整いました。

 本作はほぼ全編に渡って、僅か2つのモチーフを展開させた曲で出来ています。2つの登場人物(モチーフ)が各々、あちこちを旅して成長しながら、最終曲の「ダイアローグ」でようやく出会えてハーモニーを奏でる…そんな「2つの音の旅路の物語」をお楽しみ下さい。

 実際に舞台を観た方々には舞台の思い出として、観ていない方々には純粋に音楽作品として各々に楽しんで頂けたなら、この上ない幸いです。お気に召して頂けますように。

「ラジオのチューニングの音と共に、物語の世界へ!」
         太田 実(演劇ユニット「初級教室」・演出家)

 このアルバム「MONOLOGUES」は、最初はシャッフルしないで、お聴きすることをお勧めします。演劇用から音楽用に作り直されたアルバムですが、やはり物語性があるからなのです。その演劇のストーリーは、わざとお教えしません。音楽に心を委ね、湧きあがってくる映像、感触、感情を素直に受け止めて、自由に想像して楽しんでください。

 なぜかって? 私の経験ですが、好きな作曲家の映画のサントラ盤を先に聴いていて、想像が膨らみ、映画館に行って映画自体に失望することが多々あったからなのです ------ 聴覚(音楽)により刺激され湧き出た感覚や感情の世界の方が、たぶん楽しいはずです!

 特筆するのは、アルバムの為の新曲で早いテンポの「常動曲」(Track5)。アルバムのほとんどの曲名に「モノローグ」(独白)と、ついていますが、俳優の台詞と共に聴かせる音楽なので、あまり早いテンポは避けられ、演劇(俳優の独白)では使用できませんが、ここでは、まるで舞台上で飛び跳ねて、踊っている俳優やダンサーを想像できてしまう、楽しい新曲です。私の注文から解き放たれて、宮崎さんが、楽しげにピアノを弾いている姿が想像できます。

 また重要なのは、曲と曲のブリッジの時間帯が丁寧に作られていること。曲順に聴いて欲しいのは、その理由もあるのです。不思議な迷宮に連れ去ってくれる感覚が素晴らしい。

 後半に私の大好きな「愛の記憶」、続いてラストの「ダイアローグ」。この曲で演劇も感動のラストシーンとカーテンコールを迎えるのです。悲しげな旋律で始まるこの曲は、私たちの演劇『ソリテュードボーイ・イノセンス』の全てを言い当てています。アルバム中でもトーンが全然違うロック調。愛と希望が劇場中に飛び交いあふれたエンディング曲になりました。曲の最後、オープニングの口笛の旋律で終わってゆく演出も心憎い。

 驚くのはたった2つのモチーフで、このアルバムが作られていること。よくぞ2つでストーリー性、豊かな曲を揃えることができたなと、宮崎さんの仕事に拍手を送りたい。

 さて、そろそろ、この「MONOLOGUES」を聴く準備は整いましたね。では、ラジオのチューニングの音と共に、物語の世界へどうぞ!


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